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ひき逃げの代償

2015年7月24日 山岸純
山岸純

7月22日、北海道札幌市東区の交差点で82歳の男性が軽乗用車にはねられ死亡するという事件が発生し、事件発生から12時間後に札幌の運転代行業の女性が出頭し、逮捕されました。

この事件に限らず、交通事故を起こした後のひき逃げは後を絶ちません。
そこで今回は、交通事故を起こした後、救助をしたり警察を呼ばずに現場から無断で立ち去る、いわゆる「ひき逃げ」の代償について解説します。

過失による交通事故

まず、過失により交通事故を起こし、人を死傷させた場合は、自動車運転死傷行為処罰法により、「過失運転致死傷罪(7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)」などの罰則が適用されます。
ここで、交通事故を起こした者に対しては、単にこの罪が科せられるというだけでなく、交通事故発生時点で多くの「義務」が発生します。
すなわち、道路交通法72条は、交通事故を起こしたドライバー等に対し、

①直ちに運転を停止する義務(事故発生直後に現場を去らないなど)
②負傷者を救護する義務(負傷者を安全な場所に移動し、可能な限り迅速に治療を受けさせることなど)
③道路上の危険を防止するための措置を講じる義務(二次事故の発生を予防する義務)

④警察官に、発生日時、死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置、積載物を報告する義務
⑤報告を受けた警察官が必要とした場合に、警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務

を課しています。

なお、上記の①から⑤は、加害者、被害者を問わず、また、過失があるないにかかわらず、交通事故に関係した者全てに適用されるという点に注意が必要です。
そして、①、②、③の義務に違反した場合が最も重く、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、さらに、これらの義務に違反したのが被害者ではなく加害者の場合は、「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」もの、いわゆる「ひき逃げ」に該当するとして、10年以下の懲役または100万円以下の罰金といったように法定刑は倍になります。

併合罪

この場合、「過失運転致死傷罪」と「ひき逃げ」の罪は「併合罪」となり、15年以下の懲役または200万円以下の罰金という”さらに倍”という結果となります(飲酒などが原因の場合、もっと重くなります)。

このように、「ひき逃げ」によって、「交通事故を起こしたへの刑罰」だけでなく、思いもよらぬ重い刑が科せられることがあります。
死亡事故の検挙率が95%を超えていることを考えると、「ひき逃げ」で逃げ切ることはほぼ不可能ですし、確実にものすごく後悔することとなります。
交通事故により気が動転するのは仕方がありませんが、最低限の所為は必要ということです。

山岸純 掲載日:2015/7/24
弁護士法人ALG&Associates
事務所URL:https://www.avance-lg.com/
弁護士・山岸純

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