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特別な自動車と交通事故を起こした場合

2015年6月25日 山岸純
山岸純

6月22日午後5時ころ、千葉県佐倉市の交差点で、内偵捜査中の愛知県警巡査長が運転する車が男子高校生が乗った自転車と出会いがしらに衝突し、男子高校生が重傷を負う事故が発生しました。

この事故で男子高校生は首の骨を折るなどの重傷を負ったわけですが、今回のように、警察の自動車のような特別な自動車が交通事故を起こした場合、過失割合はどうなるのでしょうか。

まず、消防車や救急車、パトカーといった特別な自動車は、正確には「緊急自動車」と定義されています。
これらは、「消防用自動車」、「救急用自動車」、「その他政令で定める自動車」に分かれているのですが、消防車や救急車は当然に「緊急自動車」なのですが、パトカーは、公安委員会に申請を出して、当該公安委員会から「指定」をもらわなければ「緊急自動車」にはなりません。

さらに、実際に「運転中のもの」でなければなりません。つまり、公安委員会の「指定」をもらっていても、警察署に駐車中のパトカーは「緊急自動車」ではないことになります。

そして、何が「運転中」かについても極めて細かく決められており、パトカーの場合、「サイレンを鳴らし、かつ、赤色の警告灯を廻している場合」にしか「緊急自動車」として認められないため、例えば、
・(1)現場付近に犯人が潜伏している場合にパトカーがサイレンを鳴らさず警告灯だけを廻して現場に接近しているパトカーは「緊急自動車」ではありませんし、
・(2)警告灯を廻して警ら活動をしているだけのパトカーも違います。
したがって、このような場合は、赤信号の通過や路肩走行などはできません。

緊急自動車の過失割合は?

次に、このような「緊急自動車」が交通事故を起こした時の過失割合ですが、東京地裁民事交通訴訟研究会が編集し、判例タイムズ社から発行されている「別冊判例タイムズ38」では、通常の過失割合とは異なる基準を設けているようです。

例えば、信号機のある交差点で、「赤信号を無視して突っ込んできた普通の自動車」と「青信号を通過してきた普通の自動車」が出合いがしらに衝突した場合、過失割合は完全に100:0です。この場合、「青信号を通過してきた自動車」に酒酔い運転や居眠り運転があっても、せいぜい80:20になる程度です。
これに対し、「赤信号を通過している緊急自動車」と「青信号を通過してきた普通の自動車」が出合いがしらに衝突した場合は20:80となり、青信号の自動車の方が過失割合がはるかに大きくなります。
よく考えれば、当たり前のことかもしれませんが、上記のとおり、法律があえて「緊急自動車」を定義し、様々な”特権”を与えているわけですから、このような「緊急自動車」が交通事故を起こした場合にも、相当程度、その過失は制限されるわけです。

ところで、今回の事故ですが、交通事故を起こした巡査長が運転していた自動車は、どうやらレンタカーだったようです。
したがって、どう考えても「緊急自動車」ではありませんので、上記のような”特例”はありません。相手方は自転車ということですので、(その他の状況はわかりませんが)100:0から、70:30を基本とする過失割合になるでしょう。
あとは、「公務員による行為」ということで、国家賠償法による補償を求めていくことになります。
山岸純 掲載日:2015/6/25
弁護士法人ALG&Associates
事務所URL:https://www.avance-lg.com/
弁護士・山岸純

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