煽り運転された場合の対処法
煽り運転とは
煽り運転とは、前方を走行する車に対して、道路を譲るよう強要する行為であり、車間距離を詰めて異常接近したり追い回したり、ときにはハイビーム・パッシング・幅寄せなどによって相手を威嚇したり、嫌がらせをするなどの運転になります。
自動車を運転していると、このような煽り運転をするドライバーに、時折遭遇することがあります。悪質なドライバーは数キロ先まで煽り運転で前を走る車両を威嚇することがあり、さらにその煽り運転により、前方車両が事故を起こし、第三者が交通事故被害を受ける事故も発生しています。
煽り運転が原因で起こる悲惨な交通事故
平成24年9月に、栃木県矢板市で危険な煽り運転がきっかけで前の車が他車と衝突し、追突された車の女性が重体となった事件で、危険運転障害と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元少年の男性(20歳 = 事件当時19歳)に対して、宇都宮地裁は懲役6年(求刑懲役8年)の判決を言い渡しました。
また別の事件では、後ろから車間距離を詰めるなどの煽り運転により事故を誘発し、バイクに乗っていた2人を死傷させたとして、危険運転致死傷罪などに問われた静岡県三島市の無職の男(21歳)の裁判員裁判の判決が静岡地裁沼津支部であり、静岡地裁は求刑を2年上回る懲役12年の判決を言い渡しました。
煽り運転は法律違反
人の命も奪いかねない煽り運転は、危険運転の一つに分類され、相手を事故・死傷などに追いやった場合は、危険運転致死傷罪が適用され厳罰に処される可能性があります。安全な車間距離を取らずに前車に接近する行為は、道路交通法26条が禁止する車間距離不保持に該当します。
また、煽り運転で死傷事故を起こした場合、死亡事故で1年以上20年以下(加重により最長30年以下)の有期懲役、負傷事故で15年以下の懲役が科せられ、また運転免許は基礎点数45 – 62点により、免許取消・欠格期間5~8年の行政処分を受ける可能性があります。
しかし、実際に尊い家族の命を失った遺族側にしてみたら、先ほどの交通事故事例にあるような、加害者への懲役6年や12年程度の罰則では、十分に納得できるかは疑問が残ります。わずか数年で社会復帰した加害者が運転する姿を遺族の方が見たとき、遺族の方はいたたまれない気持ちになってもおかしくありません。何も意味を持たない悪質な運転手の自分勝手な行為が、非常に残酷な交通事故をまねき、遺族に大きな苦痛を与えることになるのです。
煽り運転はなぜ発生するのか
そもそも、煽り運転はなぜ発生するのでしょうか。当たり前のことですが、煽り運転は煽られる前方車両がいなければ、仮にどんなに速度を出して車を飛ばしていたとしても、スピード違反など他の罰則を科すことはできても、車間距離不保持とはいえません。
そこで、煽り運転の発生原因の一つとして考えられるのが、前方車と後方車との間に明確な速度差がある場合です。前方車が後方車よりも運転速度が遅い場合に、後方車が前方車の遅い運転にしびれをきらして煽り運転を行います。
また、他に考えらえる煽り運転が発生する理由に、前方車が無理な割り込みを後方車の前で行った場合があげられます。このような場合は、後方車の運転手が恐怖とともに怒りを感じ、煽り運転を始めることが多いです。
さらに次の原因は、前方車の運転手が後方車に迷惑をかける行為をした場合です。たとえば、窓からタバコなどの物を投げつけ、後方車に迷惑をかけた場合に、後方車が煽ってくるケースがあります。もっともこのような場合は、物を投げ捨てる前方車の運転手にも問題があるといえます。
そして、他に煽り運転の原因としてあげられるのが、そもそも後方車の運転手が精神的に異常な場合です。運転には不適格な精神状態を持つ運転手による煽り運転も考えられます。このようなドライバーがハンドルを握ること自体が非常に危険であるといえます。
最後の例は稀であったとしても、煽り運転が発生する原因は感情によるものが多いです。他のドライバーに対しての不満や怒りが、悪質な運転へと憑依させます。煽り運転をしないためには、自分の感情をコントロールできる力も必要といえそうです。
煽られる確率を減らす方法
では、このような危険な煽り運転に遭遇する確率を減らすことはできないのでしょうか。ここでは、巷で挙げられていた煽られる確率を減らす方法をご紹介します。
ステッカーをつける
まず、挙がっていた煽り運転防止法がステッカーをつけることです。たとえば、「赤ちゃんが乗っています」などのステッカーをリアガラス(後方ガラス)につけることで、後続車への運転配慮を促すことができます。良識あるドライバーであれば、まだ生まれたばかりの赤ちゃんが乗っている車を煽ることは限りなくないに等しいでしょう。なので、対策として、たとえ赤ちゃんが同乗していなくても、このような安全運転を促すステッカーを貼るのは、煽り運転防止のための一つの方法だと思います。
ダミーカメラをつける
次に挙げられていたのが、ダミーカメラを取り付ける方法です。リアガラスにダミーカメラを取り付けて、後方車の危険運転を監視しているというアピールをします。そうすることで、悪質ドライバーへ煽り運転させないよう警戒心を持たせることができます。できれば、本物のドライブレコーダーをリアガラスに取り付けると、さらに効果はありますが、相手に注意を促すためなら、ダミーカメラを取り付けてもよいでしょう。
車体が大きい車に乗る
これは、効果のほどが分かりませんが、車体が大きい車に乗って後方車に威圧感を持たせて煽らせない方法です。実際にどれだけ効果があるのかは不明ですが、ただ大きい車は人によっては強そうなイメージを抱かせますので、煽り運転をする悪質ドライバーにも注意させることができるかもしれません。
また、似たような対策法で高級車に乗る、音の大きいマフラーを取り付けるというものがありました。やはり、高級車も威圧感や重厚感があるので、後方車に煽らせないということでしょう。ただ、高級車は値段が高く、なかなか購入できないので難しいところです。また、音の大きなマフラーをつけるにいたっては、逆に他のドライバーにも威嚇もしくは騒音による迷惑をかけないかが心配です。
煽り運転されたときの対処法
そうは言っても煽り運転に遭遇することも考えられます。そこで、実際に煽り運転されたときの対処法を考えてみたいと思います。
素直に道を譲る
まずは、素直に道を譲る方法です。危険な運転や悪質な運転には関わらない。悪意ある後方車の運転に怒りを募られ、大きな事故を起こしては自分の人生、そして関係の無い方の人生まで台無しにしてしまいます。つまらぬ感情は持たずに、道を譲ることが賢明です。
無視して自分の運転に集中する
煽り運転されたときの対処法として、素直に道を譲る方法をご紹介しましたが、道路によっては道を譲ることができないくらい狭い一本道の道路もあります。もし、そのような道路で煽り運転を受けた場合は、後方車の悪質運転は無視して自分の運転に集中することです。
後方車から煽り運転を受けて動揺し、自分も無理な速度を上げては相手の思うツボですし、思わぬ悲惨な事故を起こすことも考えられます。このような場合に煽り運転に遭遇した場合は、恐怖を感じたり焦ることなく、冷静に自分の運転に集中することです。後方車に惑わされず、安全運転を心掛けてください。そして、道端で空地などのスペースが発見できたら、後方車に道を譲るとよいでしょう。
煽り運転を動画撮影(ビデオ撮影)する
これは、危険行為の証明が出来れば、現行犯でなくても訴える上で貴重な証拠となる場合があります。しかし、運転しながら後方車を撮影するという運転には相応しくない行為をすることで、自分が事故を起こしてしまう可能性があります。そうなれば、自分にとって大きな損となるでしょう。無理はせずに道を譲るなどの対策を取る方がよいでしょう。
煽り運転に遭遇し、故意に急ブレーキして追突させた場合
煽り運転の被害に遭った場合に考えられるのが、故意に急ブレーキして後方車に追突させた場合です。もし、煽り運転を受けている前方車が故意に急ブレーキをして追突事故を発生させた場合、事故ではなく事件として扱われることもあります。
また、故意に急ブレーキしているので、前方車にも過失割合が生じるでしょう。ただし、後方車は急な危険を回避するためにも、ある一定の車間距離が必要になります。また、追突事故は、追突した側(後ろの車)が、基本100%の過失事故です。
従って、故意に急ブレーキした場合は前方車にも過失割合が生じますが、やはり安全な車間距離を取らずに煽り運転を行っていた後方車の方が、前方車よりも過失割合は高い傾向にあります。
まとめ
以上のように煽り運転に関して記載してきましたが、やはり無事故で安全運転を心がけるのならば、「事故を起こさせない。事故を起こさない。事故に合わない」ことが鉄則です。自身の運転が、周囲の車にあおりや無理な追い越しや割り込みをさせるような運転でないか、考えてみるのもいいでしょう。
たとえ相手の方が悪くても、道路交通法で取り締まってもらえたとしても、もし事故が起こってしまったら、自分自身にも決して得なことはありません。相手の運転の方が無謀で悪質だったとしても、自分の運転に集中して事故を妨げ、スムーズに安全運転を行うことが最良です。煽り運転をしない、そして煽り運転に遭ったとしても、常に冷静な対応で安全運転してください。
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